カーボンの平板。
ウイングの翼端板や開口部を塞ぐなどといった機能系をはじめ、内装パーツの置換や装飾など様々な場面で活躍する人気DIY系カーボンアイテムだと思います。
私が会社員時代だったころ、シルビア用にたくさんカーボン平板を買いましたし、カーボン生成の練習でたくさん作ったのもカーボン平板なんですよね。
そこから紆余曲折あって現・CF Labを立ち上げたといっても過言ではないので、個人的には割と情熱があるジャンルですw
というわけで今回は、カーボンパーツサプライヤーとしての見解を含め、カーボン平板の選び方をご紹介したいと思います。
カーボン平板の種類
ひと言で「カーボン平板」といっても、ざっくり3種類あります。まぁ、このサイトをご覧の方はそんなの知ってるよwと言われるかもしれませんが、一応・・・。
ドライカーボン平板
カーボンプリプレグを加圧して高温で焼き上げた種類のカーボン平板。一般的にカーボンの種類の中ではもっとも強くて最も軽いです。代わりに設備や材料などの関係で最も高額です。(一昔前よりは安く・買いやすくはなりましたけど)
後述しますが、一番の強さを誇るのはドライカーボンの平板です。
ウェットカーボン平板
FRPと同じ製法で作られたカーボンの平板。カーボン平板の中では安価な部類になるのでカーボン装飾をしたい方におすすめです。それと引き換えに、強度や重量は他のカーボン製法に劣ります。
尚、「艶があるカーボンがウェットカーボン!」と思われている方もいらっしゃいますが、製法でドライカーボンっぽい艶のない見た目にすることも可能です。そのため、そういった意図の有る・無しに関わらず、ドライカーボンだと思ったらウェットカーボンだった!というケースも耳にします。
ウェットカーボンを否定するつもりは全くありませんが、ウェットカーボンは他のカーボン製法と比べると強度的に劣る場合があるので、機能部品などの強度が必要な所に使う場合は注意が必要です。(ウェットカーボンはドライやインフュージョンとまた違った技術が必要です。私にはできませんw)
インフュージョンカーボン平板
弊社が得意とする工法のカーボン平板です。特徴はドライカーボンの平板と同じ引張強度・比重を持ちながらも安価にご提供できるところです。
「え?強さも軽さもドライカーボンと一緒なの??」と思われるかもしれませんが、引張強度の強さと比重を比べると、インフュージョンカーボンはドライカーボンと一緒なんです。
とはいえ、ドライカーボンはそれ以外の様々な要素でインフュージョンカーボンと差が出てきます。もっとも強いのはドライカーボンということに間違いはありません。(詳しくはこちらをどうぞ)
またインフュージョンカーボンの平板では製法上、両面平滑(両面ツルツル)が出来ません。これが今のところのおそらく唯一の難点です。なので厳密にはウイングの翼端板には向かないかもしれません。(両方を風が通るので気流が乱れます)
その辺りをクリアした翼端板は今後、製品ラインナップに追加予定なのでお待ちくださいませ…
カーボンの種類ごとでの重さの違い
カーボン平板の解説記事からはちょっと脱線しますが、参考までに重さの話を。
カーボンに置換する場合は軽くしたい!という方が多いと思うので、参考重量算出に役立つ情報を載せておきます。
- ドライカーボン
-
1.4g/cm3
使用するカーボンやハニカムの有無で変わります。
- ウェットカーボン
-
2.8~3.0g/cm3
樹脂を使う量によるので個体差やメーカーによる差がある場合があります。ざっくりアルミニウムくらいかちょっと重いかな?そんな感覚かと思います。
- インフュージョンカーボン
-
1.4g/cm3
前述の通り、使用材料がドライカーボンと一緒なのでドライカーボン同じになります。(使用するカーボンやハニカムの有無で変わります。)
参考:用途別カーボン平板のおすすめ板厚
というわけで、ここからはカーボン平板の用途別の板厚や弊社カーボン平板の紹介をしていこうと思います。
GTウイングなどの翼端板
おそらくもっともカーボン平板が最も使われる部位だと思いますw
ただ空力をもろに受ける機能部品なので、大きさや車速によってその辺りは十分に配慮頂けると幸いです。
基本的には2.5mm厚か3.25mm厚のカーボン平板を使えば大丈夫だと思いますが、ざっくりA4サイズよりも大きな翼端板になる場合は3.25mm厚の方がいいと思います。
もちろん、重ね重ねになりますが、車速やGTウイングの形状・高さ、翼端板の大きさで受ける空気の力は全然違うので、その辺りはご注意ください。
バンパーの開口部
ここは薄くても問題ないと思います。
激しい曲げが必要な場合は0.5mm厚のカーボンディフレクターがおすすめで、比較的平面なら1mm厚で事が足りると思います。
アンパネのサイドウイング
1.75mm厚か、2.5mm厚で大丈夫だと思います。
GTウイングの翼端板のように取り付け部から大きく張り出した形状を採用すること稀だと思うので、1.75mm厚くらいがちょうどいいと思います。薄すぎてもカッコ悪いと思いますしw
サイドステップ
空力的な要素でフロアの拡張されるケースが多いサイドステップ付近。ここは1.75mm厚がおすすめです。
というか、それ用にちょうどいいサイズ(1800×140mm)が1.75mm厚の平板にはラインナップしておりますので適任です。なので実質一択ですw
ドアの内張り
1mm厚があれば十分だと思います。
ドアのサイズやがっちりした雰囲気にしたい場合は1.75mm厚でもいいかもしれませんが、重量的には純粋に1.75倍になるので、軽くしたい場合は1mm厚をおすすめしますw
参考:車種別ドアサイズ(mm)
ざっくり計測してきた車種別のドアサイズです。参考までに。
- FD3S:1150×460
- FC3S:1160×540
- NAロードスター:1010×470
- S2000:990×530
- 33スイフト:900×700
- NCP131:900×650
- LA400K:1010×550
その他の小さい箇所の施工など
曲げがきつい場合はカーボンディフレクター一択になります。
原則、カーボンの平板は平板なので曲げは想定していません。(1mm厚などの薄めのカーボン平板は割と曲がりますが、割れる可能性がゼロではないのでそこは自己責任でお願いします)
フロントアンダーパネル
なんちゃってアンダーパネルなら3.25mmで作れるとは思いますが、個人的にはあまりおすすめしたくありませんw
現在、汎用のアンダーパネルを開発中ですが、ハニカム材などを挟んで11mmくらいの厚さになる予定です。それにアップスイープの形状が大切になるので、アンパネ欲しい方はそこも配慮したものを取り付けした方が結果的に幸せになれると思いますw
まとめ
というわけで、用途別に参考になるであろうカーボン平板の解説でした。
ご要望が集まれば、ランナップにないサイズのカーボン平板も追加することはできますので、その際にはお気軽にご相談いただければと思います。